友人から「お金を貸してほしい」と頼まれたら、どうしますか。個人間のお金の貸し借りは、法律に触れないのか気になりますよね。実は、貸し借り自体は違法ではありません。ただし、利息の上限や贈与税など、知らないと損をするルールがいくつもあります。
この記事では、個人間のお金の貸し借りに関わる法律を整理します。借用書の書き方、返済されないときの対処法、時効の仕組みまで解説します。貸す側にも借りる側にも役立つ内容です。トラブルを防ぐ準備を、ここから始めましょう。
個人間のお金の貸し借りは違法になるの?
「友人にお金を貸すのは法律違反では?」という不安から見ていきます。結論はシンプルです。ただし、例外的に違法となるケースもあります。まずは合法と違法の境界線を確認しましょう。
友人・家族との貸し借り自体が違法ではない理由
個人がお金を貸すこと自体を禁止する法律はありません。友人や家族との1回きりの貸し借りは、完全に合法です。民法上の「金銭消費貸借契約」として扱われます。
契約というと大げさに聞こえるかもしれません。しかし「10万円を貸して、来月返してもらう」という約束も、立派な契約です。口頭の約束でも契約は成立します。この点は後の章で詳しく説明します。
貸金業法違反になるのはどんなケース?
違法になるのは「業として」貸す場合です。業とは、不特定多数の相手に、反復継続して貸し付けることを指します。貸金業の登録をせずに繰り返し貸し付けると、貸金業法違反になります。
たとえば、知らない人に何度も利息付きでお金を貸すケースです。副業感覚の「個人融資」も対象になり得ます。回数や相手の範囲によって、個人でも「業者」と判断されることがあります。軽い気持ちの貸し付けが、犯罪に該当する可能性もあるのです。
SNSの「個人間融資」が危険と言われる理由とは?
SNSで「#個人間融資」と検索すると、貸し手を名乗る投稿が見つかります。金融庁はこうした取引に注意を呼びかけています。SNSの個人間融資は、無登録の闇金業者が個人を装っているケースが多いためです。
法外な利息の請求や、個人情報の悪用といった被害が報告されています。性的な写真を担保に要求する「ひととき融資」も社会問題になりました。知らない相手からの借り入れは、金額にかかわらず避けるべきです。お金に困ったときは、公的な貸付制度や正規の金融機関を検討してください。
個人間の貸し借りに適用される法律とは?
貸し借りが合法でも、無制限に自由なわけではありません。個人間の取引には、民法・利息制限法・出資法という3つの法律が関わります。それぞれの役割を知ると、注意すべきポイントが見えてきます。
民法上の「金銭消費貸借契約」とは?
お金の貸し借りは、民法587条の「消費貸借契約」にあたります。借りたお金を使い、同じ金額を返す契約です。原則として、お金を実際に渡した時点で契約が成立します。
2020年4月の改正民法で、新しいルールが加わりました。書面やメール・LINEなどの電磁的記録で合意すれば、お金を渡す前でも契約が成立します。「貸す」と書面で約束した段階から、法的な効力が生じるのです。約束の重みが増したと考えてください。
利息制限法が定める上限ルール
利息を付ける場合は、利息制限法の上限を守る必要があります。上限は金額によって3段階に分かれます。
| 元本の金額 | 利息の上限(年利) |
|---|---|
| 10万円未満 | 20% |
| 10万円以上100万円未満 | 18% |
| 100万円以上 | 15% |
上限を超えた部分の利息は、法律上無効になります。たとえば50万円を年30%で貸しても、18%を超える部分は請求できません。
上限内であれば、個人間でも利息を付けること自体は問題ありません。むしろ、後の章で触れる贈与税対策として、利息設定が有効な場面もあります。
出資法との違いと罰則の有無
利息制限法と似た法律に、出資法があります。違いは罰則の有無です。利息制限法の超過は「無効」になるだけですが、出資法の超過には刑事罰があります。
個人間の貸し付けでは、年109.5%を超える利息を取ると出資法違反で処罰の対象になります。「10日で1割」いわゆるトイチは、年利に直すと365%です。明確な犯罪にあたります。冗談半分の高利設定でも、法律上は許されません。
個人間の貸し借りで利息はどこまで付けられる?
「友人に利息を求めてもいいの?」と迷う人は多いはずです。ここでは利息の実務を掘り下げます。取り決めがない場合の扱いや、返済が遅れたときの遅延損害金も確認しましょう。
利息の上限は年15〜20%(利息制限法)
前章のとおり、利息の上限は元本に応じて年15〜20%です。この範囲なら、個人間でも自由に利率を決められます。現実的には、年1〜5%程度の低利で設定するケースが多く見られます。
利率を決めたら、必ず書面に残してください。「利息は年3%とする」と1行書くだけで十分です。利率の記載がないと、利息を請求する根拠を証明できなくなります。
利息の取り決めがない場合は無利息になる理由
民法では、個人間の貸し借りは無利息が原則です。利息を付ける合意がなければ、1円も利息は発生しません。「貸してあげたのだから利息くらい」という主張は、後からは通らないのです。
利息を払う合意はあったのに、利率を決めていなかった場合はどうでしょうか。このときは法定利率が適用されます。2020年の民法改正で、法定利率は年3%になりました(3年ごとに見直される変動制です)。古い情報では年5%と書かれていることがあるため、注意してください。
遅延損害金はいくらまで設定できる?
遅延損害金は、返済が遅れたときのペナルティです。利息とは別に設定できます。取り決めがなくても、法定利率の年3%分は自動的に請求できます。
自分で設定する場合の上限は、利息制限法の上限の1.46倍です。たとえば元本50万円なら、18%×1.46で年26.28%まで設定できます。遅延損害金を高めに設定しておくと、期限内返済を促す効果があります。借用書に明記しておきましょう。
借用書は必要?作り方と書くべき項目とは?
「親しい間柄で借用書なんて」とためらう気持ちは自然です。しかし、書面の有無がトラブル時の結果を大きく左右します。ここでは借用書の具体的な作り方を解説します。
借用書に最低限書くべき7つの項目
借用書に決まった書式はありません。手書きのメモでも効力はあります。ただし、次の7項目は必ず入れてください。
- 作成日
- 貸主・借主の氏名と住所
- 借りた金額
- お金を受け取った日
- 返済期限
- 返済方法(振込先口座など)
- 利息・遅延損害金の利率
特に「金額」「返済期限」「受け取った事実」の3点が欠けると、証拠としての力が弱まります。金額は改ざん防止のため「金100,000円也」のように書きます。
作成後は、同じものを2通用意しましょう。貸主と借主が1通ずつ保管すれば、書き換えを疑い合う事態を防げます。借主の署名は、印刷ではなく自筆にしてもらうのが確実です。
借用書と金銭消費貸借契約書の違いとは?
似た書類に「金銭消費貸借契約書」があります。中身の役割はほぼ同じです。違いは作成の形式にあります。
| 項目 | 借用書 | 金銭消費貸借契約書 |
|---|---|---|
| 作成者 | 借主のみが署名 | 貸主と借主の双方が署名 |
| 保管 | 貸主が保管 | 双方が1通ずつ保管 |
| 証拠としての強さ | 有効 | より強い |
双方が署名する契約書の方が、合意の証拠として強くなります。金額が大きい場合は契約書形式を選んでください。
10万円以下の少額なら、借用書でも実務上は十分です。大切なのは形式よりも、書面を残すという行動そのものです。
公正証書にしておくメリットとは?
さらに強力なのが公正証書です。公証役場で公証人に作成してもらう公文書を指します。「強制執行認諾文言」を入れておくと、大きな効果があります。
通常、返済されない場合は裁判を経ないと強制執行できません。強制執行認諾文言付きの公正証書があれば、裁判なしで給与や預金の差し押さえを申し立てられます。作成には数千円〜数万円の手数料がかかります。高額の貸し付けでは、この費用を惜しまない方が安全です。
口約束やLINEだけの貸し借りは有効なの?
現実には、書面なしで貸してしまうケースがほとんどです。「もう手遅れなの?」と不安になる必要はありません。口約束の効力と、今からできる証拠の残し方を見ていきます。
口頭の約束でも契約が成立する理由
民法上、契約の成立に書面は必須ではありません。口約束だけでも、お金を渡した時点で金銭消費貸借契約は成立しています。「借用書がないから返さなくていい」という理屈は通りません。
問題は契約の有効性ではなく、証明の難しさです。相手が「もらったものだ」と主張したとき、貸したことを証明する責任は貸主側にあります。証拠がなければ、裁判でも勝てない可能性が出てきます。
LINEや送金アプリの履歴は証拠になる?
安心してください。証拠は借用書だけではありません。LINEのトーク履歴や銀行の振込記録も、貸し付けの証拠として認められ得ます。「10万円貸して」「来月返すね」というやり取りは、合意を示す立派な記録です。
貸した後でも、証拠は作れます。「先月貸した10万円、来月末までに返せそう?」と送ってみてください。相手が「返す」と認める返信をすれば、それが債務承認の証拠になります。現金手渡しではなく銀行振込を使うのも、記録を残す基本です。
証拠が何もない場合に起こるリスク
現金を手渡しして、やり取りの記録もない。この状態が最も危険です。貸した事実・金額・返済約束のすべてを証明できません。
相手に「もらった」「そんな話は知らない」と言われたら、打つ手が限られます。法的には貸金でも、証明できなければ回収は極めて難しくなります。これから貸す人は、少額でも必ず記録を残してください。すでに貸してしまった人は、前述の方法で今から証拠を作りましょう。
家族や親子間の貸し借りで贈与税がかかるって本当?
親からの借り入れで見落としがちなのが税金です。「家族間なら自由でしょ」と思っていると、税務署から思わぬ指摘を受けることがあります。贈与と判断される条件を押さえましょう。
貸し借りが「贈与」とみなされる条件とは?
形式上は貸し借りでも、実態が伴わなければ贈与と扱われます。これを「認定贈与」と呼びます。返済期限を決めない「ある時払いの催促なし」や、返済実績のない貸し付けは、贈与と判断されやすくなります。
判断のポイントは実態です。契約書があっても、実際に返済が行われていなければ意味がありません。返済能力を超える金額の貸し付けも、贈与とみなされる要因になります。
年110万円の基礎控除との関係
贈与税には年間110万円の基礎控除があります。1年間にもらった財産の合計が110万円以下なら、贈与税はかかりません。貸し借りが贈与と認定されても、この範囲内なら課税されないわけです。
ただし、毎年同じ時期に同じ金額を渡し続けると注意が必要です。最初から総額を贈与する約束だったと判断され、まとめて課税されるリスクがあります。「110万円以下だから安心」と機械的に考えるのは危険です。
認定贈与を避けるためにやるべきこと
家族間の貸し借りを「貸し借り」として認めてもらうには、実態づくりが欠かせません。次の4点を実行してください。
- 金銭消費貸借契約書を作成する
- 返済期限と毎月の返済額を具体的に決める
- 返済は銀行振込にして記録を残す
- 借主の収入で無理なく返せる金額にする
「契約書の作成」と「振込による返済実績」の2つがそろえば、贈与と疑われにくくなります。大きな金額なら、市場水準を参考に利息を付けるのも有効です。
住宅資金など高額の援助では、贈与税の特例制度を使う選択肢もあります。貸し借りにこだわらず、税理士に相談して最適な形を選んでください。
貸したお金が返ってこないときの対処法とは?
期限を過ぎても返済がない。連絡しても曖昧な返事ばかり。そんなときは、段階を踏んで対応します。いきなり裁判ではなく、話し合いから法的手続きへ進む流れを解説します。
まずは話し合いと返済条件の見直しから
最初のステップは冷静な話し合いです。感情的に責めると、相手が連絡を絶つ恐れがあります。「いつなら返せるか」を具体的に確認することが目的です。
一括返済が難しいなら、分割払いへの変更を提案しましょう。話し合いで決め直した内容は、必ず書面かメッセージで残してください。この記録が債務承認の証拠になります。時効を防ぐ効果もあります(時効は次の章で説明します)。
内容証明郵便で請求する方法
話し合いで進展がなければ、内容証明郵便を送ります。誰が・いつ・どんな内容の手紙を送ったかを、郵便局が証明する制度です。「〇月〇日までに〇円を返済してください」と請求した事実が公的に残ります。
内容証明自体に強制力はありません。それでも効果は大きいです。「次は法的手続きに進む」という本気度が伝わり、この段階で返済に応じる人も少なくありません。弁護士名義で送ると、さらに心理的な効果が高まります。
支払督促・少額訴訟など法的手続きの流れ
それでも返済がなければ、裁判所の手続きに進みます。個人が使いやすい制度は主に3つです。
| 手続き | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 支払督促 | 書類審査のみで裁判所が督促。低コスト | 貸した事実に争いがない |
| 少額訴訟 | 原則1回の審理で判決。60万円以下が対象 | 少額で早く解決したい |
| 通常訴訟 | 証拠を出し合い審理 | 金額が大きい・争いがある |
60万円以下の貸し付けなら、少額訴訟が現実的な選択肢です。弁護士なしでも申し立てできます。
判決や支払督促が確定すれば、強制執行が可能になります。給与や預金口座の差し押さえで、回収を図れます。手続きに不安があれば、法テラスや弁護士の無料相談を活用してください。
個人間の借金にも時効があるって本当?
貸したお金には、請求できる期限があります。放置すると権利が消えてしまうのです。貸主にとっては重大なリスクです。時効のルールと、成立を防ぐ方法を確認します。
消滅時効は原則5年(2020年4月以降の貸付)
借金の請求権は、一定期間で消滅します。これが消滅時効です。2020年4月1日以降に貸したお金は、返済期限から原則5年で時効になります。正確には「権利を行使できると知った時から5年」または「行使できる時から10年」の早い方です。
返済期限を決めた通常の貸し借りでは、期限の翌日から5年と考えてください。時効が成立し、相手が援用(時効の主張)をすると、請求する権利が消えます。「いつか返してくれるだろう」という放置が、最悪の結果を招くのです。
2020年3月以前の貸付は10年になる理由
2020年4月の民法改正で、時効のルールが変わりました。改正前の民法では、個人間の借金の時効は10年でした。2020年3月31日以前に貸したお金には、改正前のルールが適用され、時効は10年のままです。
つまり、貸した時期によって時効期間が異なります。古い貸し付けを抱えている人は、契約日を確認してください。ネット上には改正前の情報も残っているため、年数の混同に注意が必要です。
時効を止める「更新」の方法とは?
時効は途中で振り出しに戻せます。これを「時効の更新」と呼びます。主な方法は2つです。
- 相手に債務を承認させる(一部返済・返済猶予の依頼・「返します」という返信など)
- 裁判上の請求をする(訴訟・支払督促など)
1,000円でも一部返済を受ければ、その時点から時効期間がリセットされます。LINEで「必ず返す」と認めさせるだけでも効果があります。
内容証明での催告には、時効の完成を6か月間延ばす効果があります。時効が迫っているときは、まず内容証明で時間を稼ぎ、その間に裁判手続きへ進むのが定石です。
お金を貸す前に確認すべきことは?
トラブル対応より大切なのは、貸す前の判断です。頼まれた瞬間に即答する必要はありません。貸す・貸さないを冷静に決めるためのチェックポイントを紹介します。
相手の返済能力と借りる理由の確認
まず、借りる理由を聞いてください。生活費の一時的な不足なのか、ギャンブルや借金の返済なのか。理由によって、返済の見込みは大きく変わります。
収入や他の借り入れの状況も、可能な範囲で確認しましょう。借金返済のための借金を申し込む相手には、貸しても返ってこない可能性が高いです。その場合は、貸すのではなく債務整理などの相談窓口を教える方が、相手のためになります。
返済期限・返済方法を先に決めておく
貸すと決めたら、渡す前に条件を固めます。「いつ・いくら・どうやって返すか」の3点です。お金を渡した後では、条件交渉の主導権が借主側に移ってしまいます。
決めた条件は借用書に落とし込みます。受け渡しは銀行振込にしてください。「条件を決めてから渡す」という順番を守るだけで、トラブルの大半は防げます。この手順を面倒がる相手なら、貸すこと自体を考え直すべきです。
関係を壊さずに断るという選択肢
貸さないことも、立派な選択です。「返ってこなくても諦められる金額しか貸さない」という基準を持つ人は多くいます。断ったことで壊れる関係なら、貸しても遅かれ早かれ壊れます。
断るときは、相手を否定しない伝え方を意識してください。文例を挙げます。
ごめん、家族とのルールで、金額にかかわらず人にお金を貸すことはしないと決めているんだ。
力になれなくて申し訳ないけど、市役所の生活相談窓口や社会福祉協議会の貸付制度なら相談に乗ってもらえるはずだよ。
「自分のルール」を理由にすると、相手を傷つけずに断りやすくなります。代わりの相談先を添えれば、突き放す印象も和らぎます。
借りる側が守るべきマナーと注意点とは?
ここまで貸す側の視点が中心でした。しかし、借りる側の振る舞いこそ、関係を守る鍵になります。信頼を失わずにお金を借りるための行動を整理します。
借用書は借りる側から提案するのが誠実な理由
借用書の話は、貸す側から切り出しにくいものです。「疑っているようで気まずい」と感じるからです。だからこそ、借りる側から「借用書を書かせて」と提案してください。
この一言で、相手の心理的な負担が消えます。自分から書面化を申し出る姿勢は、返す意思の何よりの証明になります。結果として、貸してもらえる可能性も高まります。
返済が遅れそうなときに必ずやるべきこと
返済が遅れそうなら、期限より前に自分から連絡します。最悪なのは、黙って期限を過ぎることです。連絡がない状態は、相手の不安と不信を最大化させます。
連絡の文例を示します。
お世話になっています。お借りしている3万円ですが、今月末の返済が難しくなってしまいました。
本当に申し訳ありません。来月15日の給料日に必ずお返しします。
遅れる分、何かできることがあれば言ってください。
「謝罪・新しい期日・返す意思」の3点を、自分から先に伝えることが信頼維持の最低条件です。
信頼を失わない返済計画の立て方
借りる金額は、返せる金額から逆算して決めます。毎月の収支を書き出し、無理なく返済に回せる額を確認してください。「借りたい額」ではなく「返せる額」を基準にするのが原則です。
返済日は給料日の直後に設定しましょう。手元にお金がある日なら、確実に返せます。少額ずつでも約束どおり返し続ける実績が、信頼そのものになります。繰り上げ返済ができるときは、積極的に返す姿勢を見せてください。
個人間のお金の貸し借りに関するFAQ
ここまでの内容を踏まえて、よくある質問に答えます。細かい疑問や、判断に迷いやすいケースをまとめました。自分の状況に近いものから読んでください。
借用書なしで貸したお金は取り戻せませんか?
取り戻せる可能性はあります。契約は口頭でも成立しているからです。必要なのは、貸した事実を示す証拠です。
振込記録、LINEのやり取り、相手が返済に触れたメッセージなどが証拠になります。今からでも「いつ返せそう?」と連絡し、相手に借金を認めさせる記録を作ってください。証拠がそろえば、内容証明や少額訴訟で請求できます。
友人への貸し付けに利息を付けるのは失礼ですか?
失礼ではありません。利息制限法の範囲内なら、法律上も認められています。年1〜3%程度の低利なら、相手も受け入れやすいはずです。
利息には実利以外の意味もあります。利息を設定すると「正式な貸し借り」という意識が生まれ、返済の優先度が上がります。気が引けるなら、遅延損害金だけ定めておく方法もあります。
親から住宅資金を借りると贈与税はかかりますか?
実態のある貸し借りなら、贈与税はかかりません。ポイントは、第三者との取引と同じ形を整えることです。契約書の作成、現実的な返済計画、振込での返済実績の3点が必須です。
「ある時払いの催促なし」は、贈与と認定される典型例です。返済が形だけになっていると、契約書があっても贈与税の対象になり得ます。住宅取得資金には贈与税の非課税特例もあるため、借りる前に税理士へ相談すると安心です。
相手と連絡が取れなくなった場合はどうすればいいですか?
まず、あらゆる連絡手段を試して記録を残します。電話、メッセージ、手紙です。「連絡を試みた記録」自体が、後の手続きで役立ちます。
住所が分かるなら、内容証明郵便を送ってください。相手の所在が不明でも、公示送達という制度を使えば裁判を起こせます。自力での追跡には限界があるため、早めに弁護士へ相談するのが現実的です。
少額(数千円〜数万円)でも借用書は作るべきですか?
金額の大小より、記録の有無が重要です。数千円のために正式な借用書を作るのは、現実的ではないかもしれません。その場合でも、LINEで金額と返済日を残すことは必ずしてください。
「3,000円貸すね。来週の金曜に返してもらえる?」という1通で十分です。少額の貸し借りほど記録が残らず、うやむやになりやすい傾向があります。小さな貸し借りの積み重ねが、関係悪化の原因になることは珍しくありません。
まとめ:個人間のお金の貸し借りは「書面」と「ルール」でトラブルを防ぐ
個人間のお金の貸し借りは合法です。ただし、利息の上限、贈与税、時効という3つのルールを外すと、思わぬ不利益を受けます。守るべきことはシンプルです。条件を先に決め、書面か記録に残し、振込で受け渡す。この3点だけで、トラブルの多くは避けられます。
お金に困っている相手を本当に助ける方法は、貸すことだけではありません。市区町村の生活困窮者自立支援窓口や、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度など、公的な支援は複数あります。すでに返済トラブルを抱えている人は、法テラスの無料相談を使えば、収入に応じて弁護士費用の立て替え制度も利用できます。今日できる一歩は、証拠を1つ残すこと。まずは相手へのメッセージから始めてください。
参考文献
- 「利息制限法」- e-Gov法令検索
- 「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)」- e-Gov法令検索
- 「民法」- e-Gov法令検索
- 「No.4402 贈与税がかかる場合」- 国税庁
- 「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」- 国税庁
- 「SNS等を利用した『個人間融資』にご注意ください!」- 金融庁
- 「支払督促」- 裁判所
- 「少額訴訟」- 裁判所
- 「お金を貸したのに返してくれない」- 法テラス(日本司法支援センター)

