親の介護のお金がない!費用の工面方法と使える公的制度を解説

親の介護のお金がない!費用の工面方法と使える公的制度を解説 お金のコラム

「突然、親の介護が始まった。でもお金がない」という状況は、多くの家庭で急に訪れます。親の介護費用について何も準備していなかったという方も珍しくありません。まず知っておくべきことは、公的制度を使えば費用の負担を大きく下げられるということです。

この記事では、親の介護でお金がないときに最初に取るべき行動から、使える公的制度・兄弟間の費用分担・仕事を辞めずに介護を続ける方法・親の資産の活用まで、順を追って解説します。急いでいる方は「最初にすべきこと」から読み進めてください。

  1. 親の介護費用が払えないとき、最初にすべきこととは?
    1. 親本人の年金・貯蓄・介護保険の加入状況を確認する理由とは?
    2. 地域包括支援センターに相談すべき理由とは?
    3. 要介護認定を受けていない場合にどうすればよいのか?
  2. 親の介護費用はどれくらいかかるのか?
    1. 在宅介護と施設介護の費用の違いとは?
    2. 介護保険で自己負担する割合はどのくらいか?
    3. 介護期間が長期化した場合の費用の目安とは?
  3. 子どもは親の介護費用を払う義務があるのか?
    1. 民法が定める扶養義務の範囲とは?
    2. 扶養義務があっても払えない場合の法的な扱いとは?
    3. 親に資産がある場合に子どもが払わなくてよい理由とは?
  4. 介護費用を大幅に下げられる公的制度とは?
    1. 高額介護サービス費の仕組みと申請方法とは?
    2. 負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)の対象条件とは?
    3. 社会福祉法人等による利用者負担軽減制度とは?
  5. 要介護認定を受けると使えるサービスと費用軽減の仕組みとは?
    1. 要介護度ごとに使える介護保険サービスの上限額とは?
    2. ケアマネージャーに費用相談をする方法とは?
    3. 区分支給限度基準額をオーバーした場合の費用負担とは?
  6. 兄弟・家族間での介護費用の分担方法とは?
    1. 費用分担でもめないための話し合いの進め方とは?
    2. 介護を主に担う人と金銭的に支援する人の役割分担とは?
    3. 費用分担の合意を記録しておくべき理由とは?
  7. 仕事を辞めずに親の介護を続けるために使える制度とは?
    1. 介護休業給付金の支給額と申請方法とは?
    2. 介護休暇(短期の休み)と介護休業(長期の休み)の違いとは?
    3. 介護離職を避けることが重要な理由とは?
  8. 親の資産・不動産を介護費用に活用する方法とは?
    1. リバースモーゲージで毎月の費用を補う仕組みとは?
    2. リースバックで自宅を売却しながら住み続ける方法とは?
    3. 不動産を活用する前に確認すべきリスクとは?
  9. 低所得・生活保護受給者の場合の介護費用の扱いとは?
    1. 生活保護受給中に介護サービスを使う方法とは?
    2. 生活福祉資金貸付制度(長期生活支援資金)の利用条件とは?
    3. 住民税非課税世帯が受けられる介護費用の軽減措置とは?
  10. 親が施設に入れない・在宅介護を続ける場合の費用を抑える方法とは?
    1. 訪問介護・デイサービス・ショートステイの費用比較とは?
    2. 福祉用具のレンタル補助を活用する方法とは?
    3. 住宅改修費の介護保険補助(上限20万円)を使う手順とは?
  11. 申請を忘れると損をする介護費用軽減制度のチェックリストとは?
    1. 高額介護サービス費の払い戻し申請期限とは?
    2. 高額医療・高額介護合算療養費制度とは?
    3. 介護保険負担限度額認定証の更新期限を忘れるとどうなるのか?
  12. FAQ
    1. 親の介護費用が払えなくなったら施設を出なければならないのか?
    2. 兄弟が介護費用を払わない場合にどうすればよいのか?
    3. 親に貯蓄がゼロの場合、子どもはいくら負担しなければならないのか?
    4. 介護保険の保険料を滞納していると給付は受けられないのか?
    5. 在宅介護と施設介護、費用が安いのはどちらなのか?
  13. まとめ
    1. 参考文献

親の介護費用が払えないとき、最初にすべきこととは?

「どこに相談すればいいか分からない」という状態が一番もったいない状況です。まず動く場所を知っておけば、費用の整理が一気に進みます。

親本人の年金・貯蓄・介護保険の加入状況を確認する理由とは?

介護費用は、まず親本人の収入・資産で賄うのが基本です。親の年金受給額・預貯金・介護保険の加入状況を把握することが、費用計画の出発点になります。

親の年金収入が月10〜15万円あれば、在宅介護の費用のほとんどはカバーできます。介護保険に加入していれば、認定を受けることでサービスを1〜3割の自己負担で使えます。まず親の「老齢年金通知書」と「通帳」を確認してください。

地域包括支援センターに相談すべき理由とは?

地域包括支援センターは、介護に関する相談を無料で受け付けている公的窓口です。市区町村ごとに設置されており、介護認定の申請方法・使える制度・ケアマネージャーの紹介まで案内してもらえます。

「何から始めればよいか分からない」という段階でも相談できます。電話1本から始められます。連絡先は市区町村のウェブサイトまたは市区町村の総合案内窓口で確認できます。

要介護認定を受けていない場合にどうすればよいのか?

介護保険のサービスを使うには「要介護認定」が必要です。認定を受けていない場合は、まず市区町村の介護保険担当窓口または地域包括支援センターで申請します。

申請から認定まで通常30日程度かかります。認定が出るまでの間は自費でサービスを利用することになりますが、申請日にさかのぼってサービスを受けられる場合があります。できるだけ早く申請することが費用面での損失を減らす方法です。

親の介護費用はどれくらいかかるのか?

費用の見通しを持っておくことで、公的制度をどこまで使えば足りるかが判断しやすくなります。

在宅介護と施設介護の費用の違いとは?

公益財団法人生命保険文化センターの2024年度調査によると、介護費用の月額平均は全体で9.0万円です。在宅介護の平均月額は5.3万円、施設介護の平均月額は13.8万円と大きく異なります。

介護の形態 月額費用の目安 一時費用の目安
在宅介護 平均5.3万円 平均47万円(住宅改修など)
施設介護 平均13.8万円 入居一時金(施設による)

在宅介護は費用が抑えられますが、家族の時間的負担が大きくなります。施設介護は費用が高い分、介護の手間を専門スタッフに委ねられます。

介護保険で自己負担する割合はどのくらいか?

介護保険サービスの自己負担割合は、所得に応じて1〜3割です。

所得区分 自己負担割合
一般(年収280万円未満の65歳以上) 1割
現役並み所得(年収280万円以上)65〜74歳 2割
現役並み所得(年収340万円以上)65歳以上 3割

親が年金生活者で収入が少ない場合、1割負担になるケースが多いです。自己負担割合は「介護保険負担割合証」に記載されており、認定通知と一緒に届きます。

介護期間が長期化した場合の費用の目安とは?

前述の調査では、介護期間の平均は55か月(約4年7か月)です。在宅介護で月5.3万円が55か月続くと、総額は約290万円になります。施設介護で月13.8万円が同期間続くと約760万円です。

介護期間が5年・10年になることも珍しくないため、長期的な視点で費用計画を立てることが重要です。一時的な対応だけでなく、継続して費用を賄える制度の活用が不可欠になります。

子どもは親の介護費用を払う義務があるのか?

「払わなければならないのか」という疑問は多くの方が抱えています。法律の範囲を正確に知っておくことが、無用な負担を避けるためにも大切です。

民法が定める扶養義務の範囲とは?

民法第877条第1項には「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められています。子どもは親に対して扶養義務を負います。

ただし、この扶養義務は「自分の生活水準を下げてまで支援する」ほどの義務ではありません。扶養義務は「生活に余裕がある範囲で支援する」という程度とされています。自分の生活や家族の生活が成り立たないほどの負担を強いられる義務はありません。

扶養義務があっても払えない場合の法的な扱いとは?

子どもが経済的に困難な状況にある場合、扶養義務の履行が強制されることは実務上ほとんどありません。扶養義務は義務ですが、強制力の行使には家庭裁判所での手続きが必要です。

現実的には「払えない」という事情があれば、公的支援や生活保護の活用が前提になります。介護費用を払えないことで即座に法的責任が問われるわけではありませんが、親が生活に困窮した場合は支援の方法を一緒に考える必要があります。

親に資産がある場合に子どもが払わなくてよい理由とは?

親が年金・貯蓄・不動産などの資産を持っている場合、介護費用はまず親本人の資産から支出するのが原則です。

資産があるにもかかわらず子どもが負担する必要はありません。ただし「不動産はあるが現金がない」という場合は一時的な資金不足が生じます。その場合はリバースモーゲージなど親の資産を活用する方法を後述します。

介護費用を大幅に下げられる公的制度とは?

申請しなければ使えない制度が複数あります。知っていると知らないとでは月数万円の差が出ることがあります。

高額介護サービス費の仕組みと申請方法とは?

1か月間の介護保険サービスの自己負担額が一定の上限を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。上限額は所得によって異なります(2021年8月改定後の金額・2026年4月時点)。

所得区分 月額上限(世帯)
生活保護受給者 1万5千円
世帯全員が住民税非課税(所得・年金80万円以下) 1万5千円(個人)・2万4,600円(世帯)
世帯全員が住民税非課税(上記以外) 2万4,600円
住民税課税世帯(課税所得380万円未満) 4万4,400円
住民税課税世帯(課税所得380万円以上〜690万円未満) 9万3千円
住民税課税世帯(課税所得690万円以上) 14万100円

初回のみ申請すれば、2回目以降は自動で払い戻される市区町村が多いです。申請先は市区町村の介護保険担当窓口です。申請は利用した月から2年以内に行う必要があります。

負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)の対象条件とは?

介護施設に入所している方の食費・居住費(部屋代)を軽減する制度です。住民税非課税世帯で、預貯金が一定額以下の場合に申請できます。

市区町村に「介護保険負担限度額認定申請書」を提出し、審査が通ると「負担限度額認定証」が交付されます。施設にこの認定証を提示することで、食費・居住費が段階的に軽減されます。施設入所時にこの制度を使っていないと、毎月数万円の損失になる可能性があります。

社会福祉法人等による利用者負担軽減制度とは?

特定の社会福祉法人が運営する施設・事業所でサービスを利用する低所得者は、利用者負担額がさらに25%軽減される制度があります。

対象は、住民税非課税世帯でかつ一定の収入・資産要件を満たす方です。市区町村に申請し、「社会福祉法人等利用者負担軽減確認証」の交付を受けた上で施設に提示します。申請先は市区町村の介護保険担当窓口です。

要介護認定を受けると使えるサービスと費用軽減の仕組みとは?

要介護認定は費用軽減の出発点です。認定を受けていなければ介護保険サービスは一切使えません。

要介護度ごとに使える介護保険サービスの上限額とは?

介護保険では、要介護度に応じて「区分支給限度基準額」という月額の上限が設定されています。この上限内でサービスを使えば、1〜3割の自己負担で済みます。

要介護度 区分支給限度額(月額)目安 1割負担の自己負担上限
要支援1 約5万320円 約5,032円
要支援2 約10万5,310円 約1万531円
要介護1 約16万7,650円 約1万6,765円
要介護2 約19万7,050円 約1万9,705円
要介護3 約27万480円 約2万7,048円
要介護4 約30万9,380円 約3万938円
要介護5 約36万2,170円 約3万6,217円

※2024年1月時点・1単位10円として計算

ケアマネージャーに費用相談をする方法とは?

要介護認定を受けると、担当のケアマネージャー(介護支援専門員)がつきます。ケアマネージャーへの相談は無料です。

「費用を抑えながら必要なサービスを使いたい」という希望を正直に伝えてください。ケアマネージャーは区分支給限度額内で費用を抑えるプランを作成してくれます。費用に悩んでいることを隠さず話すことが最善のプランへの近道です。

区分支給限度基準額をオーバーした場合の費用負担とは?

月額上限を超えてサービスを使った場合、超えた分は全額自費になります。介護度が高い場合は、限度額内では必要なサービスが不足することもあります。

超過しそうな場合は、優先度の高いサービスを限度額内で選ぶか、一部を自費サービスとして追加する方針をケアマネージャーと相談してください。

兄弟・家族間での介護費用の分担方法とは?

親の介護は特定の人だけに負担が集中しやすく、費用面でのトラブルに発展することがあります。早めの話し合いが後のもめごとを防ぎます。

費用分担でもめないための話し合いの進め方とは?

費用分担の話し合いは「公平性」だけでなく「各自の経済状況」を前提に進める必要があります。収入が高い兄弟が多めに負担する、介護を担当する兄弟は費用負担を少なくするなど、役割と費用のバランスを明確にしてください。

話し合いのタイミングは「親が元気なうちに」が理想ですが、介護が始まった後でも遅くはありません。「誰がいくら出すか」だけでなく「誰が日々の介護を担うか」もセットで決めておくことが重要です。

介護を主に担う人と金銭的に支援する人の役割分担とは?

介護に割く時間や体力が大きく異なる兄弟間では、「介護担当者は費用負担を少なく・遠方の兄弟は金銭面で多く支援する」という役割分担が実態に合っている場合が多くあります。

介護による機会損失(仕事を減らした分の収入減など)は、費用分担のときに考慮してもらうよう伝えるのが適切です。感情的にならず、実際にかかるコストと時間を数値で示すと話し合いが進みやすくなります。

費用分担の合意を記録しておくべき理由とは?

口頭での合意は後から「言った・言わない」のトラブルになりやすいです。メールやLINEでの文字記録、またはノートへの覚書程度でも残しておくことを強くおすすめします。

具体的な金額・支払い時期・支払い方法を記録しておくことで、後からの確認が容易になります。公式な「費用分担協議書」の形にしなくても、記録があるだけで大きく違います。

仕事を辞めずに親の介護を続けるために使える制度とは?

介護離職は絶対に避けたい選択肢です。仕事を辞めると収入が途絶え、介護費用の工面がさらに困難になります。

介護休業給付金の支給額と申請方法とは?

雇用保険に加入している会社員が家族の介護のために仕事を休んだ場合、休業前の賃金の約67%が支給される制度です。1人の対象家族につき通算93日・最大3回まで分割取得できます。

項目 内容
支給割合 休業前賃金の67%
支給期間 対象家族1人につき通算93日(最大3回分割)
申請先 会社経由でハローワーク
申請タイミング 介護休業終了後に会社が手続き

介護離職をすると退職後は給付金の対象外になります。仕事を辞める前に必ずこの制度を確認してください。

介護休暇(短期の休み)と介護休業(長期の休み)の違いとは?

介護休暇は、1年間に最大5日(対象家族が2人以上の場合は最大10日)取れる短期の休みです。1日または半日単位で取得できます。

介護休業は、通算93日まで取れる長期の休みです。介護体制の整備(施設探し・ケアマネージャーとの打ち合わせなど)を目的として取得するものです。両方を使い分けることで、仕事を辞めずに介護を続けることが現実的になります。

介護離職を避けることが重要な理由とは?

厚生労働省の調査によると、介護を理由に離職する人は年間7〜10万人規模に上ります。離職すると収入が途絶えるだけでなく、再就職が難しくなる年齢の方も多くいます。

仕事を辞めてしまうと、自分の老後資金の積み立てが止まります。子どもの介護と自分の老後、両方が経済的に苦しくなるという二重苦になりやすいです。離職する前に、職場の上司や人事部門に介護休業制度の活用を相談してください。

親の資産・不動産を介護費用に活用する方法とは?

親が不動産を持っているものの、現金が不足している場合に活用できる方法があります。

リバースモーゲージで毎月の費用を補う仕組みとは?

リバースモーゲージは、自宅を担保に金融機関から融資を受け、毎月または一括で生活資金・介護費用を受け取る方法です。元金の返済は契約者が亡くなった後に自宅の売却で行うため、生存中は利息のみの返済で済みます。

持ち家がある親が「現金はないが不動産がある」という状況に向いています。取り扱いは金融機関・JTI(一般社団法人移住・住みかえ支援機構)・社会福祉法人などが行っています。申し込み前に複数機関で条件を比較してください。

リースバックで自宅を売却しながら住み続ける方法とは?

リースバックは自宅を売却し、まとまった資金を一括で受け取りながら、賃貸契約を結ぶことでそのまま住み続けられる方法です。

住み慣れた環境を変えずに現金を得られる点が利点です。ただし売却後は家賃負担が発生します。売却価格は市場価格より低くなる傾向があります。長期的には費用が増える可能性があるため、シミュレーションを行ったうえで判断してください。

不動産を活用する前に確認すべきリスクとは?

リバースモーゲージ・リースバックを利用する前に必ず確認すべき点があります。

  • 相続への影響:不動産を担保または売却すると、他の相続人の利益に影響します
  • 長生きリスク:リバースモーゲージは長期化すると借入残高が増えます
  • 賃料変動リスク:リースバック後の家賃が上がる可能性があります
  • 契約の解約条件:解約時の条件を事前に確認することが必要です

不動産の活用は不可逆の決断を伴います。不動産会社・ファイナンシャルプランナー・弁護士など複数の専門家に相談したうえで決断してください。

低所得・生活保護受給者の場合の介護費用の扱いとは?

収入・資産が少なく公的支援が必要な方には、別の制度が用意されています。

生活保護受給中に介護サービスを使う方法とは?

生活保護を受給している場合、介護費用は「介護扶助」として全額公費で賄われます。利用者の窓口負担はゼロです。

ただし、利用できるサービスの種類・量は担当のケースワーカーが管理します。福祉事務所のケースワーカーに「介護が必要になった」と相談することが最初の手順です。

生活福祉資金貸付制度(長期生活支援資金)の利用条件とは?

持ち家を持つ高齢者(65歳以上)で、低所得または資産の大半が不動産という場合に使える制度です。自宅を担保にして、生活費や介護費用として毎月一定額を借りられます。

世帯全員が住民税非課税で、持ち家(土地・建物)を所有していることが主な条件です。申し込みはお住まいの市区町村の社会福祉協議会窓口です。リバースモーゲージの公的版に相当します。

住民税非課税世帯が受けられる介護費用の軽減措置とは?

住民税非課税世帯は、複数の場面で介護費用が軽減されます。

  • 介護保険の自己負担割合が1割(所得が低いほど自動的に1割に)
  • 高額介護サービス費の上限が月2万4,600円以下
  • 負担限度額認定による食費・居住費の軽減(申請必要)
  • 高額医療・高額介護合算療養費制度の上限が低く設定される

これらを全て活用することで、施設費用が大幅に下がるケースがあります。窓口で「住民税非課税世帯に使える軽減制度を全て教えてほしい」と伝えると確認しやすいです。

親が施設に入れない・在宅介護を続ける場合の費用を抑える方法とは?

在宅介護でも、サービスの使い方次第で費用を大きく抑えることができます。

訪問介護・デイサービス・ショートステイの費用比較とは?

在宅介護で使えるサービスの費用は、介護度と利用頻度によって変わります。

サービス種類 内容 1回あたりの自己負担目安(1割)
訪問介護(身体介護) 入浴・排泄介助など 30分で約250円〜
訪問介護(生活援助) 掃除・調理など 45分で約220円〜
デイサービス(通所介護) 日帰りの介護施設利用 要介護2・6〜7時間で約700円〜
ショートステイ 数日の施設泊まり 1日あたり約1,000〜2,000円程度

介護者の負担を減らすためにショートステイを活用しながら、費用を抑えるプランをケアマネージャーと相談してください。

福祉用具のレンタル補助を活用する方法とは?

車いす・歩行器・電動ベッドなどの福祉用具は、要介護認定を受けた方であれば介護保険で原則1〜3割の自己負担でレンタルできます。

購入すると数十万円かかるものが、月額数百円〜数千円でレンタルできます。福祉用具は購入ではなくレンタルから始めるほうが費用を抑えられます。ケアマネージャーを通じて手続きができます。

住宅改修費の介護保険補助(上限20万円)を使う手順とは?

要介護または要支援の認定を受けた方の自宅バリアフリー工事には、費用の8〜9割(上限20万円まで)が介護保険から補助されます。

工事前に必ず市区町村に申請が必要です。着工前の申請が要件となっており、工事を先に進めると補助が受けられなくなります。担当ケアマネージャーに相談すると手続きをサポートしてもらえます。

申請を忘れると損をする介護費用軽減制度のチェックリストとは?

忙しい介護の日々の中で申請を忘れがちな制度があります。特に注意が必要なものを確認しておいてください。

高額介護サービス費の払い戻し申請期限とは?

高額介護サービス費の請求権は、サービスを利用した月の翌月1日から2年が時効です。2年を超えると申請できなくなります。

過去に高額な介護サービスを利用していた場合、さかのぼって2年分の申請が可能です。領収書を確認し、申請漏れがないか確認してください。

高額医療・高額介護合算療養費制度とは?

医療費(高額療養費)と介護費用(高額介護サービス費)を合算した年間の自己負担額が一定の上限を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。

医療費が高くかつ介護費用も高い世帯は、この制度で大幅な還付を受けられる可能性があります。計算期間は毎年8月1日〜翌年7月31日の1年間です。市区町村または加入している健康保険の窓口に申請してください。

介護保険負担限度額認定証の更新期限を忘れるとどうなるのか?

負担限度額認定証には有効期限があります。有効期限内に更新手続きを行わないと、翌月から食費・居住費が通常の金額に戻ってしまいます。

更新は自動では行われません。市区町村から通知が届きますが、見落とすと費用が上がります。有効期限は7月31日のものが多く、毎年6〜7月に更新手続きが必要です。カレンダーに記入して忘れないようにしてください。

FAQ

親の介護費用が払えなくなったら施設を出なければならないのか?

一概にそうとは言えません。まず市区町村の窓口またはケアマネージャーに相談することで、高額介護サービス費・負担限度額認定・社会福祉法人等による軽減制度など、費用を下げる方法を探せます。費用が払えなくなったと感じた時点で早めに相談することが、退所を防ぐ最善の行動です。

兄弟が介護費用を払わない場合にどうすればよいのか?

民法上の扶養義務から、家庭裁判所に「扶養料審判の申し立て」を行うことができます。ただし、実際に審判に至るケースは少なく、まず家族間での話し合いを優先してください。話し合いが難航する場合は、弁護士または家庭裁判所の調停を活用する方法があります。

親に貯蓄がゼロの場合、子どもはいくら負担しなければならないのか?

法律上の義務は「自分の生活水準を下げずにできる範囲」です。親の収入(年金など)で賄えない部分について、子どもが補うことになりますが、強制的に定額を支払わされる仕組みはありません。親が生活保護の要件を満たす場合は、親が生活保護申請を行うことで介護費用はゼロになります。

介護保険の保険料を滞納していると給付は受けられないのか?

滞納期間が1年以上の場合は、介護保険サービスの利用時に一度全額を支払い、後から還付を受ける「償還払い」になります。滞納が2年以上続くと、自己負担割合が増加するペナルティが生じます。滞納している場合は、まず市区町村に分割納付の相談をしてください。

在宅介護と施設介護、費用が安いのはどちらなのか?

データ上は在宅介護(月平均5.3万円)のほうが施設介護(月平均13.8万円)より安いです。ただし、在宅介護は家族の時間・体力のコストが大きい点を考慮する必要があります。介護度が高い場合は在宅限界があり、在宅での費用が施設並みになることもあります。どちらが適しているかはケアマネージャーに相談するのが最善です。

まとめ

親の介護でお金がないという状況は、公的制度を適切に使えばかなりの部分を解決できます。高額介護サービス費・負担限度額認定・介護休業給付金・生活福祉資金貸付制度など、申請しなければ受け取れない制度が複数あります。まず地域包括支援センターに電話することを今日の最初の行動にしてください。

記事では触れていませんが、親の認知症が進んでいる場合は「成年後見制度」の活用も視野に入ります。親の財産管理を法的に保護しつつ、介護費用の管理を行える制度です。また、家族全員が介護に関わる余力がない場合は、自治体の「在宅介護支援センター」によるコーディネートサービスも活用できます。今日からできることは1つ。お住まいの市区町村の地域包括支援センターに電話して「親の介護について相談したい」と伝えることです。

参考文献

  • 「介護保険サービスにかかる利用料」 – 厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索
  • 「令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます」 – 厚生労働省
  • 「特定入所者介護サービス費について」 – 厚生労働省
  • 「介護休業給付金について」 – 厚生労働省
  • 「民法第八百七十七条(扶養義務)」 – e-Gov法令検索
  • 「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」 – 公益財団法人生命保険文化センター
  • 「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」 – 公益財団法人生命保険文化センター
  • 「介護休業給付金とは?支給条件や申請方法」 – LIFULL介護