アメリカのお金の種類とは?紙幣と硬貨の見分け方・愛称・使い方を解説

アメリカのお金の種類とは?紙幣と硬貨の見分け方・愛称・使い方を解説 お金のコラム

アメリカのお金の種類は、紙幣が7種類、硬貨が6種類です。ただ、ふだんの買い物で手にするのは紙幣6種類と硬貨4種類ほど。サイトによって数が違って見えるのは、この数え方の差が原因です。

この記事では、アメリカのお金の種類を表で整理しました。ペニーやクォーターといった愛称、そっくりな紙幣の見分け方、製造が終わった1セント硬貨の扱いも取り上げます。内容は2026年9月時点の情報です。円換算は1ドル155円で計算しています。

  1. アメリカのお金の種類とは?
    1. 通貨単位のドルとセントとは?
    2. 紙幣と硬貨は全部で何種類ある?
    3. 「紙幣6種類・硬貨4種類」と紹介されることが多い理由とは?
  2. アメリカの紙幣にはどんな種類がある?
    1. 1ドル・2ドル・5ドル紙幣の肖像と特徴とは?
    2. 10ドル・20ドル紙幣の肖像と特徴とは?
    3. 50ドル・100ドル紙幣の肖像と特徴とは?
  3. アメリカの硬貨にはどんな種類がある?
    1. 1セント(ペニー)と5セント(ニッケル)とは?
    2. 10セント(ダイム)と25セント(クォーター)とは?
    3. 50セント(ハーフダラー)と1ドル硬貨とは?
  4. 硬貨がペニーやダイムと呼ばれる理由とは?
    1. それぞれの愛称の語源とは?
    2. 硬貨に額面の数字がなく英単語で書かれている理由とは?
    3. レジで愛称を言われたときに金額へ置き換える方法とは?
  5. サイズも色も似ている紙幣を見分ける方法とは?
    1. 四隅の数字で額面を確認する手順とは?
    2. 肖像と裏面の図柄で判別するポイントとは?
    3. 財布の中で金種を分けておく方法とは?
  6. 硬貨を大きさと色で見分ける方法とは?
    1. 10セントが5セントより小さい理由とは?
    2. 縁のギザギザの有無で判別する方法とは?
    3. 大きさ順に並べるとどうなる?
  7. 1セント硬貨は使えなくなったのか?
    1. 流通用の製造が終了した理由とは?
    2. 手持ちのペニーは支払いに使える?
    3. 現金払いの端数はどう処理される?
  8. よく使う金種とあまり見かけない金種の違いとは?
    1. 20ドル以下の紙幣が支払いの中心になる理由とは?
    2. 50ドル・100ドル紙幣が店で断られることがある理由とは?
    3. 2ドル紙幣・50セント硬貨・1ドル硬貨を見かけない理由とは?
  9. デザインが違うお金を受け取ったら偽物なのか?
    1. 旧デザインの紙幣が現在も使える理由とは?
    2. 「1776 ~ 2026」と刻まれた硬貨とは?
    3. 25セント硬貨の裏面に図柄が多い理由とは?
    4. 10ドル紙幣から始まる新デザイン計画とは?
  10. 旅行や留学ではどの金種を用意すればよい?
    1. チップ用に1ドル・5ドル紙幣が必要な場面とは?
    2. 25セント硬貨が必要になる場面とは?
    3. 日本で両替するときに金種を指定する方法とは?
  11. 現金とカードはどう使い分ける?
    1. カード払いが中心になる場面とは?
    2. 現金が必要になる場面とは?
    3. 余った硬貨を帰国前に使い切る方法とは?
  12. アメリカのお金の表記と読み方とは?
    1. 「$」と「¢」の書き方とは?
    2. 「.50」のような金額の読み方とは?
    3. buckやgrandなどの口語表現とは?
  13. アメリカのお金の種類に関するよくある質問
    1. アメリカの紙幣で一番高額なのはいくら?
    2. 紙幣に描かれている人物は全員大統領?
    3. 破れた紙幣や汚れた紙幣は使える?
    4. 日本の銀行でアメリカの硬貨は両替できる?
    5. 米ドルはアメリカ以外の国でも使える?
  14. まとめ
    1. 参考文献

アメリカのお金の種類とは?

最初に全体の地図を持っておきましょう。単位はドルとセントの2つだけです。金種の数は、発行されている数と日常で使う数で答えが変わります。この2段構えで整理すると、サイトごとに数字が違う理由まで見えてきます。むずかしい計算は出てきません。

通貨単位のドルとセントとは?

アメリカの通貨単位はドルとセントの2つです。1ドルは100セントにあたります。日本円には補助単位がないので、最初は少し戸惑うかもしれません。

値札は「$4.99」のように小数点つきで書かれます。小数点の左がドル、右がセントです。1ドル155円で計算すると、1セントは約1.6円。セントは1円玉から数十円玉の役割と考えるとつかみやすくなります。

紙幣と硬貨は全部で何種類ある?

現在発行されている金種は、紙幣7種類と硬貨6種類です。合わせて13種類になります。

区分 金種
紙幣 1ドル、2ドル、5ドル、10ドル、20ドル、50ドル、100ドル 7種類
硬貨 1セント、5セント、10セント、25セント、50セント、1ドル 6種類

「紙幣がドル、硬貨がセント」と説明されることがあります。実際には1ドルの硬貨も存在します。紙幣はドル、硬貨は主にセントと覚えておくと正確です。

「紙幣6種類・硬貨4種類」と紹介されることが多い理由とは?

理由は、ほとんど出回っていない金種を数から外しているためです。外されているのは2ドル紙幣、50セント硬貨、1ドル硬貨の3つ。どれも発行はされていますが、お釣りで受け取る機会はまずありません。

つまり、どちらの数え方も間違いではないのです。発行ベースなら紙幣7・硬貨6、日常ベースなら紙幣6・硬貨4。旅行や留学の準備なら、日常ベースの10種類を先に覚えれば困りません。

アメリカの紙幣にはどんな種類がある?

ここからは紙幣を1枚ずつ見ていきます。描かれている人物、裏面の図柄、色あいを表にまとめました。7種類すべてを暗記する必要はありません。よく使う金種と、そうでない金種の差を意識して読んでみてください。

額面 肖像 裏面の図柄 色あい 円換算 見かける頻度
1ドル ワシントン(初代大統領) 国章 緑と黒 155円 とても多い
2ドル ジェファーソン(第3代大統領) 独立宣言の署名 緑と黒 310円 まれ
5ドル リンカーン(第16代大統領) リンカーン記念堂 薄い紫とグレー 775円 多い
10ドル ハミルトン(初代財務長官) 財務省の庁舎 オレンジ系 1,550円 多い
20ドル ジャクソン(第7代大統領) ホワイトハウス 緑とピーチ 3,100円 とても多い
50ドル グラント(第18代大統領) 連邦議会議事堂 青と赤 7,750円 少ない
100ドル フランクリン(政治家・科学者) 独立記念館 青い帯が入る 15,500円 店頭では少ない

1ドル・2ドル・5ドル紙幣の肖像と特徴とは?

1ドル紙幣の肖像は初代大統領のワシントンです。現在のデザインは1963年から変わっていません。チップや少額の支払いで最も出番が多い紙幣です。会話では「シングル」と呼ばれることもあります。

2ドル紙幣にはジェファーソンが描かれています。裏面は独立宣言の署名を描いた絵画です。元の絵には47人いますが、紙幣にはスペースの都合で42人しか入っていません。

5ドル紙幣はリンカーンです。薄い紫とグレーの色あいが入っています。裏面の右下には大きな紫色の「5」。1ドル札の次にチップで使いやすい金種です。

10ドル・20ドル紙幣の肖像と特徴とは?

10ドル紙幣のハミルトンは大統領ではありません。初代の財務長官で、アメリカの金融制度の土台を作った人物です。オレンジ系の色あいが目印になります。

20ドル紙幣は第7代大統領のジャクソンです。裏面にはホワイトハウスが描かれています。ATMから出てくる紙幣は20ドル札が中心です。そのため、現地の人の財布に最も多く入っています。日本の感覚でいうと、1,000円札と5,000円札の中間のような存在です。

50ドル・100ドル紙幣の肖像と特徴とは?

50ドル紙幣は第18代大統領のグラントです。南北戦争で北軍を率いた将軍でもあります。青と赤の色あいが入っていますが、店頭で受け取る機会は多くありません。

100ドル紙幣のフランクリンも大統領ではありません。政治家であり、科学者でもあった人物です。現在のデザインは2013年10月に登場しました。表面の中央に青い立体的な帯が縦に入っています。肖像にちなんで「ベンジャミン」と呼ばれることもあります。

アメリカの硬貨にはどんな種類がある?

次は硬貨です。紙幣と違い、硬貨には愛称があります。大きさも額面の順になっていません。まずは表で6種類を見比べてみましょう。色、直径、縁の形の3点に注目すると、あとの見分け方の話につながります。

額面 愛称 表の肖像 直径 円換算 見かける頻度
1セント ペニー リンカーン 銅色 19.05mm なめらか 約1.6円 多い
5セント ニッケル ジェファーソン 銀色 21.21mm なめらか 約7.8円 多い
10セント ダイム F・ルーズベルト 銀色 17.91mm ギザギザ 15.5円 多い
25セント クォーター ワシントン 銀色 24.26mm ギザギザ 約39円 とても多い
50セント ハーフダラー ケネディ 銀色 30.61mm ギザギザ 77.5円 まれ
1ドル ダラーコイン サカガウィアなど 金色 26.49mm 文字入りなど 155円 まれ

2026年製の10セント、25セント、50セントは記念デザインです。くわしくは後半で説明します。

1セント(ペニー)と5セント(ニッケル)とは?

1セント硬貨は、6種類のなかで唯一の銅色です。銅のかたまりに見えますが、中身の97.5%は亜鉛。表面だけが銅でおおわれています。リンカーンの肖像は1909年から続いています。流通用の製造は2025年11月に終わりましたが、支払いには使えます。

5セント硬貨は銀色で、縁がなめらかです。肖像は第3代大統領のジェファーソン。材料は銅75%、ニッケル25%です。重さは5g。5セントで5gと覚えると、手に取ったときの厚みと重さで判別しやすくなります。

10セント(ダイム)と25セント(クォーター)とは?

10セント硬貨は6種類のなかで最も小さく、最も薄い硬貨です。1セントより小さいのに、価値は10倍。ここが日本人のつまずきやすいところです。肖像は第32代大統領のフランクリン・ルーズベルトです。

25セント硬貨は日常で最も出番が多い硬貨です。肖像はワシントン。コインランドリーやパーキングメーターは、この硬貨しか受け付けない機械が少なくありません。4枚で1ドルになるので、計算もしやすい金種です。

50セント(ハーフダラー)と1ドル硬貨とは?

50セント硬貨は6種類のなかで最も大きい硬貨です。肖像はケネディ大統領で、1964年から続いています。発行はされていますが、お釣りで受け取ることはほぼありません。

1ドル硬貨は金色をしています。先住民の女性サカガウィアを描いたものや、歴代大統領のシリーズがあります。同じ額面の1ドル紙幣が使われ続けているため、硬貨のほうは広まりませんでした。受け取ったら、ふつうに1ドルとして使えます。

硬貨がペニーやダイムと呼ばれる理由とは?

硬貨の愛称は、観光客向けの豆知識ではありません。レジや友人との会話でふつうに使われる言葉です。語源を知ると、どの愛称が何セントなのか忘れにくくなります。硬貨の表記のクセも、あわせて確認しておきましょう。

それぞれの愛称の語源とは?

4つの愛称は、由来がすべて違います。国の歴史、材料、数字の言葉がまざっているのがおもしろいところです。

愛称 額面 語源 補足
ペニー 1セント イギリスの硬貨「ペニー」 正式な名称は「セント」
ニッケル 5セント 材料の金属ニッケル 銅75%、ニッケル25%
ダイム 10セント ラテン語の「10分の1」 古いつづりは disme
クォーター 25セント 英語の「4分の1」 1ドルの4分の1

ペニーは植民地時代のなごりです。独立前の北アメリカではイギリスの通貨が使われていました。ダイムとクォーターは、どちらも「1ドルの何分の1か」を表す言葉です。分数だと気づけば、金額に置き換えるのが楽になります。

硬貨に額面の数字がなく英単語で書かれている理由とは?

アメリカの主な硬貨には「10」や「25」といった数字がありません。書かれているのは英単語です。

硬貨 刻まれている表記
1セント ONE CENT
5セント FIVE CENTS
10セント ONE DIME
25セント QUARTER DOLLAR

注目したいのは10セントの「ONE DIME」です。ダイムはもともと愛称ではありません。1792年の貨幣法で定められた、1ドルの10分の1を表す正式な単位です。つまり硬貨には「10セント」とはどこにも書かれていません

数字を入れない理由は、公式にははっきり示されていません。建国初期からの表記が受け継がれていると考えるのが自然です。読んで判別するより、色と大きさで覚えるほうが早い。これがアメリカの硬貨とつきあうコツです。

レジで愛称を言われたときに金額へ置き換える方法とは?

置き換えは、1ドルに対する枚数で覚えると速くなります。

  • クォーターは4枚で1ドル
  • ダイムは10枚で1ドル
  • ニッケルは20枚で1ドル
  • ペニーは100枚で1ドル

レジで「クォーターある?」と聞かれる場面があります。これは、お釣りをきりよくするための質問です。たとえば会計が5ドル25セントのとき。10ドル札とクォーター1枚を出すと、お釣りは5ドル札1枚で済みます。持っていなければ「ノー」と答えるだけで問題ありません

サイズも色も似ている紙幣を見分ける方法とは?

アメリカの紙幣は、7種類すべてが同じ大きさです。色あいも緑が基調で、ぱっと見では区別がつきません。ここでは、数字、肖像、財布の入れ方の3つに分けて対策を紹介します。慣れるまでの数日間を乗り切る方法です。

四隅の数字で額面を確認する手順とは?

紙幣の大きさは、どの額面も横約156mm、縦約66mmです。日本の紙幣は額面ごとに横幅が違います。アメリカではその手がかりが使えません。確認するのは数字だけと割り切りましょう。

手順は次のとおりです。

  • 表面の四隅にある数字を見る
  • 迷ったら裏返して、右下の大きな数字を見る
  • 最後に肖像で確かめる

5ドル以上の紙幣は、裏面の右下に大きな数字が印刷されています。視力の弱い人にも読みやすくするための工夫です。支払いの前に1枚ずつ数字を見る。この習慣だけで、渡し間違いはほぼ防げます。

肖像と裏面の図柄で判別するポイントとは?

肖像の枠に注目すると、2つのグループに分かれます。1ドルと2ドルは、肖像が楕円の枠に入った古いデザインです。5ドル以上は枠がなく、肖像が大きく描かれています。

裏面にも違いがあります。5ドル以上は、すべて建物の絵です。1ドルは国章、2ドルは絵画。裏が建物でなければ1ドルか2ドルと判断できます。色あいも手がかりになります。10ドルはオレンジ系、5ドルは紫系です。数字とあわせて見ると、確認が速くなります。

財布の中で金種を分けておく方法とは?

入れ方を決めておくと、取り出すときに迷いません。おすすめは次の3つです。

  • 額面の小さい順に手前から並べる
  • 向きをそろえて、数字が見えるように入れる
  • 50ドル札と100ドル札は別のポケットにしまう

とくに気をつけたいのは暗い場所です。タクシーの車内やバーでは、数字が読みにくくなります。1ドル札のつもりで高額紙幣を渡してしまう失敗は、この場面で起こりがちです。チップ用の1ドル札は、財布とは別に小さく折って持つと安心です。

硬貨を大きさと色で見分ける方法とは?

硬貨は、紙幣よりも見分けに時間がかかります。大きさが額面の順に並んでいないからです。ただ、理由を知ってしまえば混乱はおさまります。色、縁、大きさの順に確認する方法を見ていきましょう。

10セントが5セントより小さい理由とは?

理由は、かつての材料の違いにあります。10セント硬貨は、1964年まで銀で作られていました。銀貨は、含まれる銀の量で大きさが決まります。10セント分の銀は少量なので、硬貨も小さくなりました。

5セント硬貨は事情が違います。1866年に、銅とニッケルの合金で作られ始めました。安い金属なので、大きく作っても問題がなかったのです。「銀貨の生まれか、合金の生まれか」が大きさの逆転を生みました。材料が変わった今も、サイズだけが残っています。

縁のギザギザの有無で判別する方法とは?

縁を見ると、硬貨は2つのグループに分かれます。

  • ギザギザあり:10セント、25セント、50セント
  • なめらか:1セント、5セント

ギザギザは、銀貨の時代に縁を削り取る不正を防ぐために付けられました。今では、指先で判別する手がかりとして役立っています。

実際の確認は2段階で済みます。まず色を見ます。銅色ならペニーで確定です。銀色なら縁を確かめます。銀色でなめらかならニッケル、銀色でギザギザの小さいほうがダイムです。

大きさ順に並べるとどうなる?

6種類を小さい順に並べると、次のようになります。

順位 硬貨 直径 額面
1 ダイム 17.91mm 10セント
2 ペニー 19.05mm 1セント
3 ニッケル 21.21mm 5セント
4 クォーター 24.26mm 25セント
5 ダラーコイン 26.49mm 1ドル
6 ハーフダラー 30.61mm 50セント

額面の順とまったく合っていないことがわかります。日本の硬貨でいうと、ダイムは1円玉より小さいサイズ。クォーターは10円玉より少し大きい程度です。手持ちの日本の硬貨と比べておくと、現地での判別が速くなります。

1セント硬貨は使えなくなったのか?

1セント硬貨については、古い記事と今とで状況が変わっています。2025年11月に流通用の製造が終わりました。ただし、使えなくなったわけではありません。製造終了の理由、手持ちの扱い、端数の処理を順番に確認します。

流通用の製造が終了した理由とは?

理由はコストです。米国造幣局によると、1セント硬貨を1枚作る費用は3.69セントでした。10年前は1.42セント。作るほど赤字がふくらむ状態が続いていたのです。

最後の流通用ペニーは、2025年11月12日にフィラデルフィアの造幣局で製造されました。1793年から232年続いた歴史の区切りです。すでに約3,000億枚が出回っているとされています。買い物に必要な量は足りている、というのが政府の判断でした。

手持ちのペニーは支払いに使える?

使えます。1セント硬貨は、現在も法定通貨のままです。交換の手続きも期限もありません。お釣りで受け取った場合も、そのまま次の支払いに回せます。

終わったのは、あくまで流通用の製造です。収集家向けの1セント硬貨は、数量限定で作られ続けています。「製造終了」と「使用不可」は別の話と覚えておきましょう。

現金払いの端数はどう処理される?

ペニーのお釣りが用意できない店では、合計額を5セント単位に丸めることがあります。財務省は、公平で一貫した方法で行うよう店側に勧めています。丸め方の一例は次のとおりです。

合計額のセントの末尾 丸めたあとの末尾
1、2 0
3、4 5
6、7 5
8、9 0(10セント繰り上げ)

対応は州や店によって異なります。丸めの対象は現金払いだけです。カードなどの支払いは、これまでどおり1セント単位で計算されます。

議会では、製造終了と端数処理のルールを法律で定める法案が審議されています。成立したかどうかは、米国議会の公式サイトで確認できます。

よく使う金種とあまり見かけない金種の違いとは?

13種類のうち、実際に財布を出入りする金種はかたよっています。中心になるのは20ドル以下の紙幣と、4種類の硬貨です。なぜ高額紙幣や一部の金種が使われにくいのか。その背景を知ると、両替で選ぶ金種が決めやすくなります。

20ドル以下の紙幣が支払いの中心になる理由とは?

大きな理由はATMです。アメリカのATMから出てくる紙幣は、20ドル札が中心。現金をおろした人の財布は、自然と20ドル札ばかりになります。

もう1つの理由は、高額の買い物がカードで行われることです。現金の出番は、少額の支払いやチップに集中します。現金払いは20ドル札でほぼ足りるのが実情です。店のレジも、20ドル以下のお釣りを前提に準備されています。

50ドル・100ドル紙幣が店で断られることがある理由とは?

理由は主に2つあります。偽札への警戒と、お釣りの不足です。小さな店では、高額紙幣を受け取るとお釣り用の紙幣がなくなってしまいます。入口に「20ドルを超える紙幣はお断り」と貼り紙をしている店もあります。

これは違法ではありません。アメリカには、店に現金の受け取りを義務づける連邦法がないためです。州や市によっては独自のルールがあります。ホテルや大型スーパーなら、受け取ってもらえることがほとんどです。店員が紙幣を光に透かしたり、ペンでなぞったりするのは偽札の確認。疑われているわけではないので、落ち着いて待ちましょう。

2ドル紙幣・50セント硬貨・1ドル硬貨を見かけない理由とは?

3つに共通する理由は、レジに置き場所がないことです。多くのレジの引き出しは、よく使う金種に合わせて仕切られています。置き場所がなければ、お釣りとして出ていくこともありません。

2ドル紙幣は、めずらしさから手元に残す人が多い金種です。使われずにしまい込まれるので、ますます出回りません。1ドル硬貨は、同じ額面の紙幣に出番をゆずっています。3つとも、受け取れば額面どおりに使えます。店員が見慣れておらず、確認に時間がかかる場合はあります。

デザインが違うお金を受け取ったら偽物なのか?

お釣りをよく見ると、同じ額面なのに絵柄が違うことがあります。偽物を疑いたくなる場面です。アメリカでは、古いデザインも記念デザインも並行して使われています。どんな種類があるのかを知っておけば、あわてずに済みます。

旧デザインの紙幣が現在も使える理由とは?

アメリカ政府は、1914年以降に発行された紙幣をすべて有効としています。デザインが変わっても、古い紙幣が使えなくなることはありません。新しい紙幣への交換も不要です。

肖像が小さい古い100ドル札も、額面どおりに使えます。ただし、注意したいのはアメリカ国外での扱いです。国外の両替店では、古いデザインの受け取りを断られる場合があります。帰国後に日本円へ戻す予定なら、古い紙幣は現地で先に使うのが無難です。

「1776 ~ 2026」と刻まれた硬貨とは?

建国250周年を記念した、2026年だけのデザインです。対象は10セント、25セント、50セント。年号が2つ並んでいるのが目印で、5セント硬貨にも同じ年号が入ります。2026年1月5日から、銀行向けの出荷が始まりました。

10セント硬貨は、見た目が大きく変わっています。ルーズベルトの肖像がなく、自由を象徴する女性像が描かれています。25セント硬貨の裏面は5種類。最初に出回ったのはメイフラワー誓約の図柄です。価値は通常の硬貨と同じなので、そのまま支払いに使えます。

25セント硬貨の裏面に図柄が多い理由とは?

25セント硬貨は、記念シリーズの舞台になってきた硬貨です。主なシリーズは次のとおりです。

期間 シリーズ 裏面のテーマ
1999年から2008年 50州クォーター 各州のシンボル
2010年から2021年 アメリカ・ザ・ビューティフル 国立公園など
2022年から2025年 アメリカン・ウィメン 歴史に残る女性
2026年 建国250周年 建国の歴史

50州シリーズだけで50種類あります。すべて合わせると、裏面は100種類を超えます。表がワシントンで、大きさと縁が同じならクォーターです。裏面は気にせず、表とサイズで判断してください。

10ドル紙幣から始まる新デザイン計画とは?

アメリカでは、紙幣を順番に新しくする計画が進んでいます。シリーズ名は「カタリスト」。最初の対象が10ドル紙幣です。報道によると、予定は次のとおりです。

額面 製造準備が整う目安
10ドル 2026年
50ドル 2028年
20ドル 2030年
5ドル 2032年から2035年
100ドル 2034年から2038年

表の年は、製造の準備が整う目安です。店頭に出回る時期とは一致しません。流通が始まったかどうかは、製版印刷局の発表で確認できます。

新しい紙幣には、指でさわって額面がわかる凹凸が入る予定です。1ドルと2ドルは変更の対象外。新しい紙幣が出ても、今の紙幣は引き続き使えます

旅行や留学ではどの金種を用意すればよい?

種類と見分け方がわかったら、次は準備です。ポイントは金額よりも金種。同じ300ドルでも、100ドル札3枚と小額紙幣の組み合わせでは使い勝手がまるで違います。チップ、硬貨、両替の3つの視点で見ていきましょう。

チップ用に1ドル・5ドル紙幣が必要な場面とは?

現金のチップが必要なのは、カードで払えない場面です。目安は次のとおりです。

場面 目安 使う紙幣
ホテルのベッドメイク 1泊2ドルから5ドル 1ドル札、5ドル札
荷物を運んでもらう 1個1ドルから2ドル 1ドル札
車を預ける 2ドルから5ドル 1ドル札、5ドル札

レストランのチップは、会計時にカードで払えます。現金を用意するのは、上の表のような場面だけで足ります。

数え方はかんたんです。5泊なら、ベッドメイクだけで5回。到着した日から必要になるので、1ドル札は日本で用意しておくのが安心です。チップに硬貨を使うのは失礼にあたるため、紙幣で渡してください。

25セント硬貨が必要になる場面とは?

25セント硬貨しか使えない機械が、今も残っています。代表的な場面はこちらです。

  • コインランドリーの洗濯機と乾燥機
  • 路上のパーキングメーター
  • 自動販売機
  • 一部のスーパーのショッピングカート
  • おつりが出ない路線バス

コインランドリーでは、1回で10枚前後を使うこともあります。留学や長期滞在では、とくに必要になる硬貨です。

硬貨は日本では両替できません。現地のお釣りで集めることになります。受け取ったクォーターは使わずに取り分けておくと、必要なときに困りません。銀行の窓口で、10ドル分を40枚の束に替えてもらう方法もあります。

日本で両替するときに金種を指定する方法とは?

銀行や空港の両替窓口では、金種を指定できる場合があります。何も言わないと、高額紙幣が中心になりがちです。申し込むときに、枚数まで伝えましょう。

300ドルを両替するなら、次のような内訳が使いやすくなります。

金種 枚数 金額
20ドル札 10枚 200ドル
10ドル札 5枚 50ドル
5ドル札 6枚 30ドル
1ドル札 20枚 20ドル

窓口では、次のように伝えると話が早く進みます。

300ドル分を両替したいです。
20ドル札を10枚、10ドル札を5枚、5ドル札を6枚、1ドル札を20枚でお願いできますか。

店舗によっては、小額紙幣をまとめたパックが用意されています。細かい指定ができない窓口では、このパックを選ぶと1ドル札が確保できます。

現金とカードはどう使い分ける?

アメリカはカード払いが広く使える国です。それでも、現金がゼロでは困る場面が残っています。どこでカードを使い、どこで現金を出すのか。線引きを知っておくと、持っていく現金の額を決めやすくなります。余った硬貨の使い道も紹介します。

カード払いが中心になる場面とは?

スーパー、レストラン、ホテル、ガソリンスタンド。ほとんどの店でカードが使えます。数ドルの買い物でもカードを出す人がめずらしくありません。タッチ決済に対応した店も増えています。

レストランでは、チップもカードで払えます。伝票にチップの額を書きこむ欄があります。高額の支払いはカード、現金は少額用と分けるのが基本です。大金を持ち歩かずに済むので、防犯の面でも安心できます。

現金が必要になる場面とは?

現金の出番は、次のような場面に集まっています。

  • ホテルのベッドメイクなどのチップ
  • フリーマーケットやファーマーズマーケット
  • 現金のみの小さな飲食店
  • カードの最低利用額を決めている店
  • 硬貨しか使えない機械

「10ドル未満はカード不可」のように、最低額を決めている店があります。少額の買い物ほど、現金が役に立つわけです。

短期の旅行なら、1日あたり20ドルから30ドルほどの現金があれば、多くの場面をカバーできます。滞在先や過ごし方で変わるので、チップの回数から逆算してみてください。

余った硬貨を帰国前に使い切る方法とは?

硬貨は、日本に持ち帰っても両替できません。帰国前に使い切るのが基本です。方法は次のとおりです。

  • セルフレジの硬貨投入口にまとめて入れる
  • 硬貨を先に出して、残りをカードで払う
  • 空港の募金箱に入れる

セルフレジは、硬貨を1枚ずつ数える必要がありません。投入口に入れれば機械が計算してくれます。店員を待たせる心配もなく、気楽に使い切れます。

紙幣は日本で円に戻せますが、硬貨は戻せません。日本の一部の空港や駅には、外国の硬貨を電子マネーに交換できる端末があります。どうしても残った場合の選択肢として覚えておくと便利です。

アメリカのお金の表記と読み方とは?

金種がわかっても、値札や会話でつまずくことがあります。記号の位置、小数点の読み方、くだけた言い回し。どれも学校の英語ではあまり習わない部分です。レジの前であわてないように、書き方と読み方を確認しておきましょう。

「$」と「¢」の書き方とは?

ドルの記号は数字の前、セントの記号は数字のあとに書きます。日本語の「5ドル」と順番が逆になるので注意が必要です。

金額 書き方 補足
5ドル $5 または $5.00 記号は数字の前
50セント 50¢ または $0.50 ¢は数字のあと
1,250ドル $1,250.00 3桁ごとにカンマ

2つの記号を同時に使うことはありません。1ドル以上の金額は、セントも小数点でまとめて書くのがルールです。値札に「.99」とだけ書かれていたら、99セントを意味します。

「.50」のような金額の読み方とは?

ていねいな読み方は「トゥエルブ・ダラーズ・アンド・フィフティ・センツ」です。ただ、レジではもっと短く言われます。「トゥエルブ・フィフティ」。ドルもセントも省略されるのがふつうです。

金額 短い読み方
$12.50 twelve fifty
$3.99 three ninety-nine
$0.75 seventy-five cents
$1,200 twelve hundred

数字が2つ続けて聞こえたら、前がドル、後ろがセントです。聞き取れなくても心配はいりません。レジの画面に金額が表示されます。画面を見て確認する習慣をつけましょう。

buckやgrandなどの口語表現とは?

日常会話では、ドルの代わりに別の言葉がよく使われます。

表現 意味 使い方の例
buck 1ドル five bucks で5ドル
grand 1,000ドル two grand で2,000ドル
K 1,000ドル 50K で50,000ドル
single 1ドル札 1ドル札への両替を頼むとき
change 小銭、お釣り Keep the change.

バックは、昔の取引で使われたシカの皮に由来するといわれています。値段を聞いて「テン・バックス」と返ってきたら、10ドルのことです。

チップの場面で役立つのが「Keep the change.」です。「お釣りは取っておいてください」という意味になります。タクシーやカフェで、お釣りをそのままチップにしたいときに使えます。

アメリカのお金の種類に関するよくある質問

最後に、ここまでで触れきれなかった疑問をまとめます。高額紙幣のこと、肖像の人物のこと、傷んだ紙幣や余った硬貨のこと。どれも渡航の前後で気になりやすい内容です。気になる項目から読んでみてください。

アメリカの紙幣で一番高額なのはいくら?

現在発行されている紙幣では、100ドルが最高額です。1ドル155円で計算すると15,500円。日本の10,000円札より高額になります。

かつては500ドル、1,000ドル、5,000ドル、10,000ドルの紙幣もありました。これらは1969年に発行が打ち切られています。法的には今も有効です。ただし、収集品としての価値が額面を大きく上回るため、買い物で使われることはありません。

紙幣に描かれている人物は全員大統領?

全員ではありません。7人のうち、10ドルのハミルトンと100ドルのフランクリンは大統領の経験がない人物です。ハミルトンは初代の財務長官。フランクリンは独立宣言の起草に関わった政治家です。

共通点は、建国や国の危機に深く関わったこと。もう1つ、決まりがあります。存命の人物は紙幣の肖像にできないと法律で定められているのです。そのため、紙幣の顔ぶれは歴史上の人物に限られます。

破れた紙幣や汚れた紙幣は使える?

少しの破れや汚れなら、そのまま使えることがほとんどです。アメリカの紙幣は、日本よりもくたびれた状態で出回っています。テープで補修された紙幣を受け取ることもあります。

ただし、受け取るかどうかは店の判断です。断られた場合は、現地の銀行で交換を相談できます。半分以上が残っていることが、交換の目安とされています。大きく傷んだ紙幣は、製版印刷局が鑑定と交換を受け付けています。お釣りで傷みのひどい紙幣を渡されたら、その場で取り替えを頼みましょう。

日本の銀行でアメリカの硬貨は両替できる?

基本的にできません。日本の銀行や両替店が扱うのは紙幣だけです。硬貨は重く、輸送や保管の費用が額面に見合わないことが理由です。

持ち帰った硬貨の使い道は限られます。次の渡航まで保管するか、硬貨を電子マネーに交換できる端末を利用するか。硬貨は現地で使い切る前提で動くと、無駄がありません。

米ドルはアメリカ以外の国でも使える?

使える国と地域があります。グアム、サイパン、プエルトリコはアメリカの領土なので、通貨も米ドルです。ハワイと同じ感覚で使えます。

独立国でも、米ドルを自国の通貨として採用している国があります。

地域
中南米 エクアドル、エルサルバドル、パナマ
太平洋 パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島
アジア 東ティモール

パナマや東ティモールのように、独自の硬貨を併用している国もあります。余った米ドルの紙幣は、こうした国への旅行でも使えるわけです。

まとめ

アメリカのお金は、数字と肖像、大きさと縁の4点を押さえれば見分けられます。もう1つ知っておきたいのが売上税です。アメリカの値札は税抜き表示がふつうです。税率は州や市で変わります。レジで金額が増えても、計算ミスではありません。セント単位の端数が出やすいのは、この税金が理由です。

出発前にやることは3つです。まず、旅程からチップが必要な回数を数えます。次に、1ドル札と5ドル札の枚数を決めてメモします。最後に、両替窓口でそのメモどおりに金種を指定してください。硬貨は現地のお釣りで自然に集まります。25セントだけは使わずに取り分けておくと、コインランドリーやパーキングメーターで困りません。

参考文献

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  • 「Acceptance and Use of Older-Design Federal Reserve Notes」-「U.S. Currency Education Program」
  • 「United States Mint Hosts Historic Ceremonial Strike for Final Production of the Circulating One-Cent Coin」-「U.S. Mint」
  • 「Penny FAQs」-「U.S. Mint」
  • 「Coin Specifications」-「U.S. Mint」
  • 「Penny Production Cessation FAQs」-「U.S. Department of the Treasury」
  • 「United States Mint Begins Shipping Semiquincentennial Circulating Coins」-「U.S. Mint」
  • 「United States Mint Semiquincentennial Circulating Coin Program Designs Unveiled」-「U.S. Mint」
  • 「Semiquincentennial Coin Program Media Kit」-「U.S. Mint」
  • 「Mutilated Currency Redemption」-「Bureau of Engraving and Printing」
  • 「OIG report on BEP includes update on redesign schedule」-「Coin World」